黄昏の恋

									言葉に出せたらいいのにと思う
									一歩だけ あと一歩だけが
									踏み出せない
									いつからこんな気持ちになったのだろう
									あなたと目を合わせられなくなったのは
									いつから……?

										あの青空に架かる虹を滑り台にして
										何処までも走って 
										真っ白なレターの宛先はまだ秘密
										暮れゆく街に 包み込むブラッドオレンジのカクテル
										きっともう酔っている 黄昏の恋

									素直になれたら少しは楽になれるのかな
									強がって 意地はって
									作り上げた いつもの「わたし」に
									泣いてもいいよ、なんて口にしないで
									そんな眼で見つめないで
									勘違いしそうになるから
	
										夕暮れのポプラ並木の通り
										やっと追いついたら
										弾むように 微笑った(わらった)あなた
										見上げた空は 甘酸っぱいラズベリーに染まっていて
										ああ、もぎ取られたに違いない
										わたしの心

										名前を呼ばれるだけで 幸せ、だなんて
										あなたを好きになって 初めて解ったこと
										暮れゆく街に 包み込むブラッドオレンジのカクテル
										きっともう酔いは覚めない 黄昏の恋

									……もう少しだけ この関係でいさせて
									きっとあなたを 振り向かしてみせるから
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