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     あたたかい ある朝のこと	
見慣れた部屋の古椅子に
あなたの姿を見た気がした
ほんの一瞬の幸せと寂しさ

立ちあがり伸びをして
窓をそっと左右に開いていけば
感じる 大地の息吹 水の流れる音 鳥の羽ばたき
遠くから聴こえるのは 聴こえるのは……
耳を澄まして ふと懐かしくなって 零れた涙

日常なんて すぐに壊れてしまう
また始まると思う明日は 空の向こう
気づいた時には 手を伸ばしても 届かない

あなたは何を想って 私に
笑いあって 触れ合って 確かにあったものは
簡単に風に攫われて 西の彼方

夢の中で あなたは 背中を向けたまま 静かに
もう無理しなくていいから、それだけを告げて
そして 淡雪のように 

不思議 どんなことがあっても
また朝が来て 夜を迎えて
保証のない明日 それでも来る明日

それは それは あたたかな日のこと
ゆらりゆらりと春風吹く先
陽炎にあなたの姿が見えた
ほんの一瞬の 真昼の夢

大丈夫 もう歩いていけるから
いつか逢えるその時まで 立ち止まらずに 今

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